正直しんどい

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【二度めの夏、二度と会えない君】感想文


映画『二度めの夏、二度と会えない君』予告編

 

「バンド組もう!」高校3年の夏の始めに、彼女は言った。
智が通う北高に転校してきた燐は、文化祭でライブをするという夢を叶えるためにやってきた。
そしてメンバーとして集められたのが、智、姫子、六郎だった。
バンド活動が禁止されている中、生徒会長の菅野瑛子の手助けもあり、文化祭ライブは成功を収めた。
そして、夏のおわりに、智は燐に自分の想いを伝える。だがそれは取り返しのつかない言葉として刻まれ、2人を引き裂いてしまう。
なぜ、あんなことを言ってしまったのだろう。もしもやり直せるなら──そう思ったある日、半年前にタイムリープした智は、“あの夏”をやり直すチャンスを手にする。
今度は絶対に燐に“告白しない”と心に決めた智。しかし、二度めの夏は一度めと何か違っていた。

果たしてライブは成功するのか。二度めの夏はどんな結末を迎えるのか──。

 

 

 (映画のストーリーは感想文を書いた後に公式サイトから引用した)

 主演は村上虹郎。彼の演技を初めて見たのは「仰げば尊し」という青春音楽モノだった。その際は特に何も思わなかったのだが、二度目に彼の演技を知ったのがアニメ「いぬやしき」の獅子神役で、それがあまりにも抑揚のない声だったのでえっ……? と思ったのをよく覚えている。

 今作「二度めの夏、二度と会えない君」は、村上虹郎演じるサトシとその女友達リンがバンド演奏を終えたところから始まる。演奏を終えて二人での帰り道、リンが急に意識を失って倒れ、サトシは慌てて病院に連れて行く。そこでリンが病気で余命いくばくもないことを知る。サトシは「おれお前のこと好きだよ!」と言うも、リンは「どうして今そういうこと言うの? きみは大切な仲間なのに。帰ってよ」とサトシを病室から追い出す。そして二ヶ月後、リンは死んでいる。(なんだそれは)

 傷心のサトシは冬の河川敷を歩いている。そこでうっかり足を滑らせ、坂道を転がり落ちる。いってぇ~……と言いながら起きあがってみれば、そこは半年前の河川敷だった。季節は夏になろうとしている頃。サトシは悟るのである、「これからもう一度あの夏をやりなおせるんだ。もう告白なんてしない。リンのことを傷つけたりしない」と。

 

 しょっぱなからああそういう感じの話かあ……と半目になりながら思いつつも、私の目的は正直言って山田裕貴なのでそのまま視聴を続けることにする。普段は決して自ら選ぶことのないジャンルの映画を観たい! と強く思えるあたり、山田裕貴の集客力は飛び抜けている。

 

 山田裕貴は天才彫刻家・石田六郎を演じている。銀髪の変態ベーシスト。

 「~かい?」口調の山田裕貴、一人称が僕の山田裕貴、ラムネを飲む山田裕貴、ボタンを一番上までとめてネクタイをきっちり閉めている山田裕貴、真っ赤なベースを弾く山田裕貴……。そのすべてにありがとうと言いたい。彼の眉と目の形がとても好きだ。高い鼻も厚い唇も好きだ。制服姿もいいし私服姿もいい。花火ではしゃぐ六郎は最高にCuteである。

 女の子に両側から寄りかかられて眠る六郎もまるで美少女のよう。あの後部座席には女の子しか存在しなかったのだ。

 

 この映画での演奏シーンは吹き替えを一切していないという。リンの甘い歌声もかわいらしい。各メンバーがみんな自分で演奏していると思うとそれだけで手を叩いて応援したくなる。

 リンのような天真爛漫感情豊かで悪意無く他人を振り回すタイプのキャラはあまり得意ではないしサトシのような自分の気持ちを抑え込んで他人を優先しようとするキャラもあまり得意でなく、ストーリーそのものに関しては感情移入も感動も特に何もなくただ観ているだけだったけれど(もちろん個人の主観である)、演奏シーンも演奏している曲もすべて本当にすばらしかったし存在感のある山田裕貴の演技が見られてよかったので素敵な作品だったと思う。

 山田裕貴is最高を感じられた。ありがとう銀髪の変態ベーシスト。

 あと私はツンデレながら最終的にはバンド活動のアシストをしてくれる生徒会長が好きだった。

 

 余命がいくばくもないリンが死の間際以外ははちゃめちゃに元気に活動していたことへの疑問は考えないことにして、二度めの夏、二度と会えない君はとても爽やかな青春映画だった。半年前の夏をやり直したサトシは一度目の夏とは違う結末を迎えることが出来た。残った仲間たちに笑顔で「バンドやろうぜ」と語りかけるラストシーンの、雪景色がとてもきれいだった。